今年は全国的に梅雨が短く、あっという間に暑い夏がやってきました。急な気候の変化に体がついてこない、という方も多いのではないでしょうか。
気象庁が発表した3か月予報でも、2022年の8~10月は全国的に平年より気温が高くなることが予想されています※1。
そんな時期、気を付けておきたいのが「夏バテ」です。まだまだ暑い日が続くと予想される今年の夏、しっかり夏バテ対策をして暑い夏を乗り切りましょう。
夏バテとは?
夏バテとは、暑さによっておこる体調不良全般を指します。代表的な症状としては
・食欲がわかない
・疲れやすい
・体がだるい
などが挙げられます。夏バテは以下のことが原因で起こるといわれています。
①自律神経の乱れ
自律神経は、体の状態を一定に保つ機能を担っているため、自律神経の働きが悪いと体の調整がうまくいかず、胃腸の働きが悪くなったり、睡眠の質が低下したりします。
また、夏場は屋外と屋内の気温差が大きいほか、湿度が高く、汗をかいてもその汗の蒸発がうまくいかなくて体温調整ができないことも、自律神経の乱れに影響すると考えられています。
②栄養バランスの乱れ
夏の食事は、のど越しのよいものや冷たいものを選ぶことが多く、また火を使う時間を短くしようとして料理の品数が少なめになるなど、栄養が偏りがちになります。さらに汗をかくことでビタミンやミネラルが失われやすいことも重なり、栄養バランスが崩れがちです。
つまり、
・食欲がわかない‥自律神経の乱れにより消化管の機能が弱まる。
・疲れやすい‥ビタミンが不足して、糖質からエネルギーへの変換がうまくできない
・体がだるい‥自律神経の乱れによって体の状態を一定に保つ機能が弱まる
ことが原因として考えられます。
食事でできる夏バテ対策
夏バテにはなりたくないけれど、そのために何かに取り組むのも面倒‥という方も多いと思います。
では、夏バテを起こさないために、日々の食事で気を付けられることを考えていきましょう。
①バランスのとれた食事
電子レンジなど火を使わなくてもいい調理法を有効に使いながら、品数を増やしたり、少しでもトッピングを加えるなど栄養バランスを考えた食事を心がけましょう。
汗をかくとビタミンやミネラルが失われやすいので、野菜を中心にしたおかずを加えられると理想的です。
②1日3食食べる
なるべく自律神経の乱れが起こらないように、規則正しい生活を心がけましょう。食欲がなくても、きちんと3食決まった時間に食べてからだのリズムを整えることを意識して。冷たいものは消化管の機能を低下させることにつながるので、取りすぎには気を付けましょう。
③ビタミン(特にビタミンB1)を意識的にとる
夏は汗とともにビタミンが失われがち。特にビタミンB1は糖質の代謝に必要なので、せっかく食事でエネルギーとなる糖質をとっても、ビタミンB1が不足していればうまくエネルギーに変換できず、元気が出ないことにつながります。
また、ビタミンB1は、アリシンと呼ばれる物質と結合することで、血中への吸収率がよくなることが知られています※2。アリシンを含む食品を一緒に食べることで、より効率的なエネルギーの補給が望めます。
ビタミンB1を豊富に含む食品
- 豚肉
- うなぎ
- ナッツ
アリシンを含む食品
- にんにく
- ニラ
- 玉ねぎ
まだまだ暑い日が続くことが予想されます。食事に気を遣いながら、元気に楽しい夏を過ごしましょう!
参考文献
※1 気象庁季節予報 3か月予報 2022年7月19日発表
※2 藤原元典、1953、「アリチアミンの発見」、『ビタミン』6巻、日本ビタミン学会、doi:10.20632/vso.6.0_857、NAID 10002872164 pp. 857-862