まだまだ暑い日が続いていますが、暦ではもう8月も終わりに近づいています。夏休みで食生活が乱れてしまったという方も少なくないはず。そんな方に、食生活を見直すきっかけにしてほしい、8月31日がやってきます。8月31日は野菜の日です!
なぜ8月31日が野菜の日なの?
全国成果物商業協同組合連合会など9団体が、野菜の普及を目的として共同で制定しました。一般社団法人日本記念日協会に登録されています。
8月31日が野菜の日になったのは、8(や)月31(さい)日の語呂から来ています。
野菜摂取量目安の根拠
「1日に野菜を350 g以上食べましょう」
こんなフレーズを聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。ところで、なぜ1日の野菜摂取量の目安が350 gなのか、ご存じでしょうか?
厚生労働省が策定した「21世紀における国民健康づくり:健康日本21」で、「カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンなどの摂取は、循環器疾患やがんの予防に効果的に働くと考えられている1)-3)」「前述の栄養素の適量摂取には、野菜350~400 gの摂取が必要と推定される4)」との記述があります。野菜を350 g以上摂取することで、カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンといった栄養素を適量摂取しましょう、というわけです。
ここで挙げられたカリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンといった栄養素がもつ疾患の予防につながると考えられるはたらきを簡単にご紹介します。
カリウム
カリウムには細胞の水分量を減らす働きがあり、反対にナトリウムには細胞の水分量を増やす働きがあります。ナトリウムが多いと体内の水分量が多くなり、むくみや高血圧の原因となります。
ナトリウムの主な摂取源は食塩であり、成人の1日当たりの食塩摂取量は「健康日本21」での目標値を上回っていることから、カリウムを摂取することで食塩の過剰摂取の影響が小さくなることが期待されます。
食物繊維
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。特に水溶性食物繊維は、水に溶けることでそのとき食べたものの粘性を高めます。食べたものがゆっくり移動するため、血糖値の急激な上昇を抑えます。また、水溶性食物繊維はコレステロールの腸での吸収を抑える働きがあります。
抗酸化ビタミン
抗酸化ビタミンとしてはビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどが広く知られています。抗酸化作用としては、主に活性酸素のはたらきを抑えることが考えられています。
活性酸素はがんなどの疾患の原因の一つだと考えられている、酸化ストレスを引き起こすことが知られており、抗酸化ビタミンには酸化ストレスの発生を抑える作用があると考えられます。
1日に野菜を350g食べていますか?
「1日に野菜を350g食べましょう」と言われている理由はわかったところで、さて、私たちの実際の野菜摂取量はどのくらいなのでしょうか?厚生労働省が2018年に調査した結果では、私たち日本人の平均野菜摂取量は男性では「290.9g」、女性では「273.3g」との報告がされています5)。平均値で見れば、私たちは目標350gに対して60~80g野菜の摂取量が不足していることになります。
野菜70gの目安は、もやしだと一掴み分くらい、キャベツだと中ほどの葉約1枚分くらいです6)。一般的に、ほうれん草のおひたしや野菜サラダなどの小鉢1皿分が約70gと言われています。野菜摂取量の平均値で言えば、現状の食生活に小鉢1皿分の野菜を加えることで、摂取目標を達成できます。
8月31日の野菜の日をきっかけに、一度食習慣を見直してみませんか?
《参考文献》
1) Suter PM : The effect of potassium, magnesium, calcium, and fiber on risk of stroke. Nutr Rev 57(3), 84-88, 1999.
2) Ness AR, Powles JW,Khaw KT : Vitamin C and cardiovascular disease : a systematic review. J Cadiovasc Risk 3(6), 513-521, 1996.
3) World Cancer Research Fund in Association with American Institute for Cancer : Food, nutrition and prevention of cancer, A global perspectives, American Institute for cancer, Washington, D.C., 1997.
4) 健康日本21(栄養・食生活) 参考資料1参照
5) 厚生労働省 e-ヘルスネット 野菜、食べていますか?
6) 農林水産省 特集 野菜をもっと食べよう!(1)