女性ホルモンは、女性のココロとカラダを大きく左右しています。「閉経」が近づくと、規則的に分泌されていた女性ホルモンが徐々に減少します。この閉経の前後を更年期と呼び、女性ホルモンの減少により更年期特有の症状が現れます。
女性ホルモンが正常に分泌されるためには、心もからだも健康であることが基本になります。食生活は整えることはからだの健康を整えることにつながります。
女性ホルモンは年齢とともに減少していく
私たちのカラダは、さまざまなホルモンによってコントロールされています。
ホルモンとは血液中に分泌される化学物質。血液の流れによって全身に運ばれ、体内に様々な指令を伝えています。
そのホルモンの中でも女性にとって大きな影響を与えるのが女性ホルモンです。
女性ホルモンの働き
- 女性らしさをつくる
- 妊娠、出産に備え子宮の環境を整える
- 肌の潤い、骨の成分維持、しなやかな髪、乳房の発達
- 動脈硬化を防ぐ、骨の密度を保つ
- 記憶力の低下を防ぐ、感情を安定させる
- 筋肉、脳、自律神経などの発達など
女性ホルモンは、思春期から分泌が増えていき、30代をピークに段々と分泌が少なくなります。そうすると、上記の女性ホルモンの行っていた働きが弱まってしまいます。
なんと、生涯に分泌される全部のホルモンを集めてもスプーン何杯ほどといわれています。女性ホルモンに限定するとほんのわずか。少ない量で最大の効果を発揮しているのがホルモンです。
男性の体にも女性ホルモンは存在し、加齢で減少すると骨、歯、髪(もみあげより上)などが弱まり減ってきます。
更年期と女性ホルモン
日本女性の多くが50歳前後に閉経をむかえます。この閉経を挟んだ前後が更年期です。
この時期、女性ホルモンが急激に減少するため、その変化にカラダがついていかずに多くの不調が起こります。
更年期のおもな症状
- ホットフラッシュ、冷え、動悸、息切れ
- 自律神経の乱れ、イライラ、不安感
- 皮膚の乾燥、かゆみ、めまい
- 肩こり、腰痛、関節痛など
更年期症状はホルモンバランスの変化により起こる症状ですが、20代~30代の女性の間でも起こる場合があります。
大豆イソフラボンと女性ホルモン
大豆や大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」は、大豆のもつ特徴的なフィトケミカル(植物が作る活性物質)です。この大豆イソフラボンは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンと同じような働きをします。そのため、更年期の症状や骨粗しょう症、冷え性の予防や改善に役立ちます。
大豆イソフラボンが含まれている食品
- 大豆もやし(大豆を発芽させたもやし)
- 豆腐、豆乳、味噌など大豆加工品
大豆イソフラボンはどのように女性ホルモンに似た働きをしているのでしょうか?大豆イソフラボンの肌への働きを紹介します。
大豆イソフラボンの肌への働き
肌の真皮には線維芽細胞が存在し、女性ホルモンが働きかけることによってヒアルロン酸の産生を促進しています。女性ホルモンが減るとその働きが弱まりますが、大豆イソフラボンを摂取すると代わりに似た働きをします。
ヒアルロン酸には水分をたくわえる働きがあります。このヒアルロン酸が減少すると、肌の水分量が減り、乾燥しがちな肌になります。
そのため、日々の外側からのケア(保湿クリーム等)だけではなく、肌の内側のケアとして、自らヒアルロン酸を生み出す力を高めていくことが肌の潤いを保つことにつながります。
食生活を整えて、更年期の症状を乗り越えましょう
更年期に起こりがちな自律神経失調症や、イライラや不安、躁鬱などの精神的な症状をやわらげるには、たんぱく質やビタミン、ミネラルのそろったバランスのとれた食事が効果的であるといわれています。
大豆イソフラボンが豊富に含まれている子大豆もやし芽ぐみを使ったレシピをご紹介します。
参考資料
落合敏「新しい実践栄養学」主婦の友社、2014
平田雅子監修「不調をなおしてキレイになる女性ホルモン基本事典」成美堂出版、2010
吉田企世子・松田早苗監修「からだにおいしいあたらしい栄養学」高橋書店、2016